脳梗塞の麻痺の仕組み|なぜ思い通りに動かないのか?専門家がわかりやすく解説

  • 投稿の最終変更日:2025年12月26日

「力は入るのに腕が上がらない」「歩きたいのに足がつっぱって前に出ない」
脳梗塞の後遺症で、“身体が自分のものではないように感じる”と多くの方が話します。

なぜ、筋肉はあるのに動かないのか?
なぜ、毎日リハビリしてもうまく動かないのか?

本記事では、脳梗塞の麻痺が起こる仕組みを専門家の視点で、しかし一般の方にも“すっと理解できる言葉”で解説します。

結論として、麻痺は「筋力の問題」ではなく
脳と身体の“神経の連携が途切れていること”が原因です。

ここを理解すると、「なぜリハビリが必要なのか」「どうすれば改善するのか」がはっきり見えるようになります。


脳梗塞で麻痺が起きる本当の理由

脳梗塞によって血管が詰まると、脳の一部がダメージを受けます。
特に「運動を指令する部分」が傷つくと、次のような現象が起こります。

●筋肉の命令がうまく届かない

手足を動かすとき、脳は神経を通して細かい命令を送ります。
しかし脳梗塞の後はその命令が

  • 弱くなる
  • 途切れる
  • 伝わるルートが混乱する

このような状態になります。

筋肉自体はあるのに動かないのは「神経が伝わっていない」ためです。

●“動かし方のプログラム”が壊れてしまう

脳は身体を動かすための“動作プログラム”を持っています。
しかし脳梗塞でこのプログラムが部分的に壊れると、

  • 力が入りすぎる
  • 力が入らない
  • 意図と違う動きになる

といった動作の乱れが起こります。

これが麻痺の本質です。
筋トレだけでは良くならない理由もここにあります。


よく起こる「麻痺の症状」とそのしくみ

脳からの命令が乱れると、次のような典型的な症状が現れます。

●力は入るのに動かせない

脳が「筋肉を協調させて動かす」命令を出せないため、
力はあるのにうまく動かせなくなります。

(例)膝を上げようとすると太ももが固まり、かえって動きがぎこちなくなる。

●つっぱる(痙縮)

脳の制御が弱くなると、筋肉が勝手に縮もうとする反応が強くなります。
これが「つっぱり」です。

●動かそうとすると代わりの筋肉が働く(代償動作)

腕を上げたいのに肩がすくむ
足を出したいのに体が横に揺れる
これらは麻痺の典型です。


麻痺を改善するために必要なのは「脳の再学習」

傷ついた脳は、別の神経ネットワークを使って新しい動きを再学習する力を持っています。
これを脳の“可塑性(かそせい)”と言います。

つまり、麻痺の改善は

脳が正しい動き方をもう一度覚えられるかどうか

にかかっています。

そのために必要なのが、次の3つです。


麻痺改善に重要な3つのポイント

1. 良い動きを何度も積み重ねること

脳は“正しい動き”を繰り返されたときに最も回復します。
逆に、悪い動きを続けるとその動きを覚えてしまいます。

(例)
分回し歩行 → 続けるほどクセとして脳に固定される

2. 姿勢と軸を整えること

脳は「安定した姿勢」からでないと手足をうまく動かせません。
姿勢が崩れると、

  • つっぱり増加
  • 動きの乱れ
  • 力の入りすぎ

が起こり、麻痺が悪化して見えることも。

3. “必要な感覚”を取り戻すこと

脳は、姿勢・関節の角度・筋肉の張りなどの情報をもとに動きを作っています。
感覚がにぶると、脳は正しい命令を出せません。

感覚の再入力(感覚訓練)は改善の鍵です。


病院を退院した後も麻痺は改善する理由

脳は回復力を持ち続けており、
回復のタイムリミットは「3ヶ月」「6ヶ月」ではありません。

むしろ、退院後のほうが

  • 普段の歩き方
  • 家での姿勢
  • 自主トレ
  • 良くないクセの積み重ね

によって変化が大きく出る時期です。

正しい方向で積み重ねれば、何年経っても改善します。

発症3ヶ月で回復が止まった…これは本当?まだできる!脳梗塞の回復の見込み


自宅でできる“脳に効く”トレーニング

※危険のない内容に絞っています。

●1)膝立ち・立位での体幹安定訓練

姿勢の土台が整うと、脳が動きを作りやすくなります。

●2)ゆっくり丁寧に関節を動かす

速く動かすと代償が出て学習効果が下がるため、
“ゆっくり・小さく”が効果的です。

●3)日常動作の中で「良い動き」を意識

脳は日常動作から最も学習します。


麻痺改善が進まないと感じるときに見直すべきこと

  • 正しい姿勢が保てているか
  • 力が入りすぎていないか
  • つっぱりで動きを邪魔していないか
  • 痛みを我慢していないか
  • 歩き方・手の使い方にクセがついていないか

ここがズレると、どれだけトレーニングしても効果が出ません。


訪問リハ・自費リハを利用するメリット

  • 個別の原因分析ができる
  • 姿勢・動きの“誤差”を正確に修正できる
  • 自分では気づかないクセを改善できる
  • 自主トレを効果が出る形に修正してもらえる
  • 家での動作(起き上がり・立ち上がり・歩行)も指導可能

脳の再学習の成功には“正しい動作の積み重ね”が必要であり、
その精度を上げるのが訪問リハの価値です。


まとめ:麻痺は「脳の学び直し」で変わる

脳梗塞の麻痺は「筋力の問題」ではなく
脳と身体の連携が乱れている問題です。

そして脳は、
正しい動きを繰り返すことで再び学び直す力があります。

  • 正しい姿勢
  • 正しい動き
  • 正しい感覚

この3つの積み重ねが改善の鍵です。

「発症から時間が経っているから…」
「もう変わらないかもしれない…」

そんなことはありません。

脳は、今この瞬間からでも変われます。

一緒に“思い通りに動く身体”を取り戻していきましょう。

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