脳梗塞後の肩の痛みの防止と改善!知られざる原因と正しい向き合い方

  • 投稿の最終変更日:2025年12月8日

脳梗塞の後遺症で多い悩みのひとつが「肩の痛み」です。
動かすとズキッと痛む。服を着るたびにつらい。夜中にうずいて眠れない…。
こうした痛みは“仕方ない”と思われがちですが、実は多くのケースで 原因を理解し、適切に対処すれば改善できます。

私は理学療法士として神経系のリハビリを専門に10年以上携わってきました。
この記事では、脳梗塞後の肩の痛みが起こるメカニズム、改善のために必要な視点、そして自宅でできる対策まで分かりやすく解説します。

「まだ良くなる可能性がある」と前向きに感じてもらえる内容になっています。


脳梗塞の肩の痛みは“改善できる”。その理由

脳梗塞後の肩の痛みは、原因さえはっきりすればアプローチができます。
その理由はシンプルで、痛みの多くは 筋肉・関節・姿勢の問題による“力学的なトラブル” によって起こるからです。

改善の見込みがある主な理由

  • 肩の“支える力”はトレーニングで高められる
  • 動かし方はリハビリで学習し直せる
  • 関節の保護は正しいポジショニングで可能
  • 神経の働きは継続的な刺激で活性化する

つまり、痛みの正体を理解し、間違った使い方を正せば改善が期待できる ということです。


肩の痛みを引き起こす3つの主要メカニズム

脳梗塞後の肩の痛みは、次の3つが組み合わさって起こります。

亜脱臼(サブリクセーション)

特に麻痺側の肩では、腕を支える筋肉が弱まり、上腕骨が本来の位置からわずかに下方向へ引っ張られる状態 が起こります。

典型的な症状は

  • 肩を上げると痛む
  • だらんと腕が重い
  • 肘が引っ張られるような感覚

などです。

痙縮(筋肉のこわばり)

脳の障害により筋肉に異常な緊張が入り、肩周囲が固まったように感じます。
特に胸の筋肉や上腕二頭筋の緊張が強いと 肩が前に詰まり、痛みを起こしやすい姿勢に固定されます。

動かさないことによる関節の硬さ

痛みや恐怖で腕を動かす機会が減ると、関節包や筋肉が固くなりやすく、

  • 可動域の低下
  • 肩を上げた時の強い痛み
  • 動き始めのズキッとした痛み
    を引き起こします。

多くの人が誤解している「肩の痛みのタイムリミット」

「退院後3ヶ月を過ぎると痛みが治らない」
「半年で固定される」
こうした言葉を耳にすることがありますが、これは誤解です。

痛みは“慢性化するほど改善しない”というわけではありません。

肩の痛みの多くは、

  • 間違った動作
  • 関節の負担
  • 支える筋力の不足
    といった 力学的ストレス が原因であるため、発症から時間が経っていても改善は可能です。

実際、発症から数年後に痛みが改善したケース も珍しくありません。


痛みを改善するために絶対に外せないリハビリのポイント

専門家が実際に行うアプローチを、一般の方にも分かるよう説明します。

肩甲骨の安定化

肩甲骨が不安定だと、腕を上げるたびに肩関節が詰まり、痛みが悪化します。
そのため、前鋸筋・僧帽筋下部・菱形筋といった“肩甲骨を支える筋肉”を優先的に鍛えます。

亜脱臼を起こさない姿勢づくり

麻痺側の腕は、

  • 引っ張る
  • ぶら下げる
  • 肘をつかんで持ち上げる
    などで亜脱臼が悪化します。

正しいポジショニングとしては

  • 腕を身体に寄せる
  • 肩をすくめない
  • タオルやクッションで支える
  • 巻き肩にならない
    などが基本です。

痙縮を軽減し、動きの再学習を促す

胸筋・上腕二頭筋・広背筋の緊張が強い時は、

  • ストレッチ
  • 体幹の連動を使った動き
  • 正しい腕の上げ方の学習
    が必要です。

自宅でできる肩の痛みを軽減するエクササイズ

痛みが強くない範囲でできる、効果的なエクササイズを紹介します。

肩甲骨のゆっくりしたストレッチ

椅子に座り、背筋を伸ばして肩をゆっくり後ろに回します。
10回×2セット。

タオルを使った腕の支持

タオルを身体の横に置き、麻痺側の肘を軽く乗せることで腕の重さを軽減します。

壁を使った肩の可動域練習

指を壁につけ、ゆっくり上へ滑らせながら腕を上げます。
無理のない範囲で10回。


改善が停滞している時に見直すべきポイント

長期間痛みが続く時、多くの場合は
「原因に合っていない対処」を続けている
ことが原因です。

よくある例

  • 痙縮が原因なのに筋トレをしている
  • 亜脱臼があるのに腕を引っ張る動作を続けている
  • 痛みを恐れてまったく動かしていない
  • 体幹の使い方が悪く肩に負担が集中している

改善しないと感じる時こそ、専門家の評価が必要です。


訪問リハ・自費リハの活用で改善するケースがある

肩の痛みは、丁寧な評価と継続的なリハビリが必要な分野です。
病院リハは時間が限られているため、マンツーマンでしっかり時間を使える訪問リハ・自費リハは非常に相性が良い です。

ヘルスウェアでは、

  • 亜脱臼の程度
  • 肩甲骨の位置
  • 姿勢・体幹のバランス
  • 痙縮の影響
    を細かく評価し、根本原因に合わせたリハビリを行っています。

痛みのない未来のために今日からできること

  • 麻痺側の腕を大切に扱う
  • 肩をすくめない
  • 無理に腕を引っ張らせない
  • 痛みのない範囲で積極的に動かす
  • 必要に応じて支えを使う

これらはすべて、痛みの予防につながります。


まとめ

脳梗塞後の肩の痛みは、“仕方がないもの”ではありません。
原因を知り、正しい対処をすれば改善できる可能性は十分にあります。

もし今、
「どう動かすのが正しいか分からない」
「痛みが怖くて腕が使えない」
そんな悩みがあるなら、ぜひ一度ご相談ください。
身体は、今からでも変わります。

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