脳梗塞の後遺症は、発症から3ヶ月を過ぎると回復が止まると言われることがあります。
「もう良くならないのでは…」と不安を抱える方は多いでしょう。
しかし、私は理学療法士として神経系リハビリを専門に10年以上携わってきましたが、発症から半年以降でも動きや痛みが改善するケースを何度も見てきました。
この記事では、なぜ“頭打ち”と言われるのか、その誤解と真実、そして今からでも回復を伸ばすための具体的なポイントをわかりやすくお伝えします。
今「もう遅いのかな…」「まだ頑張りたい」と感じている方こそ
読み終える頃には「まだできることがある」と実感していただけるはずです。
結論:脳梗塞の回復は”3カ月で止まらない”。脳は今からでも変わります

脳梗塞後の回復は、発症直後〜3ヶ月の変化が大きいのは事実です。
しかしこれは「自然回復(自然治癒)」の話であり、“リハビリによる回復”は時間が経っても続きます。
脳には「可塑性(かそせい)」という性質があります。
これは、
・何歳でも
・発症からどれだけ時間が経っていても
・適切な刺激を与えれば
脳が新しい回路をつくり、再学習をしていく能力のことです。
つまり、
やり方次第で今からでも回復は見込める
というのが、本当のところです。
ただし、改善するかどうかは“運任せ”ではありません。
正しい方法を続けるかどうかで、結果は大きく変わります。
なぜ「3ヶ月で頭打ち」と言われるのか

多くの医療現場で3ヶ月を区切りとして語られる理由には、次の医学的背景があります。
●理由①:自然回復(自然治癒)が落ち着く時期だから
脳梗塞後は、脳の浮腫や神経の一時的な機能低下が改善することで、自然に症状が良くなる期間があります。
これが “最初の3ヶ月で大きく良くなる” と言われる理由です。
しかしこれは 「自然に良くなる部分」 の話であり、
リハビリによる改善が終わるタイミングではありません。
●理由②:保険リハビリの制限があるから
病院に入院中は毎日リハビリを行うことができます。
しかし、退院するとどうでしょう。保険を使ったリハビリでは週に1~2回程度の頻度となってしまいます。
つまり、回復の限界ではなく、
「リハビリの提供量が減る」=「改善のペースが落ちる」
という構図が起きます。
これが「回復が止まった」と感じる原因になることも多いです。
●理由③:誤った動きがクセづいてしまうから
後遺症がある状態で生活していると、動かしにくい部位を無意識にかばう動作が定着してしまいます。
これを 代償動作(悪いクセ) と言います。
代償動作が固まるほど、
本来の正しい動きが難しくなり、結果として回復が鈍るように感じます。
つまり本当の問題は、
「回復が止まった」のではなく、「正しい動きが入っていない」
という点にあるのです。
回復に差が出る3つのポイント

脳梗塞の回復は「時間の問題」ではなく、「条件の問題」で決まります。
特に大きく差が出るのは以下の3つです。
●①正しい刺激が脳に入っているか
脳は「使った部分を強化し、使わない部分を弱める」という性質があります。
つまり、正しい動きを繰り返すほど回復しやすくなります。
●②正しい姿勢が保てているか
これは非常に重要です。
姿勢はすべての動きの“土台”だからです。
【正しい姿勢とは?】
- 骨盤が前後に倒れすぎていない
- 胸郭が潰れず、呼吸がしやすい
- 体幹に左右差がない
- 肩や首の位置がニュートラル
麻痺のある側に体重を乗せられず、姿勢が崩れると、脳へ入る感覚情報も乱れます。
結果として「正しい動き」が入りにくくなり、回復が遅れます。
●③どの筋肉を使っているか理解できているか
脳卒中後は、
- 力は入るけど方向がズレる
- 動かしているつもりが動いていない
- 頑張りすぎて逆に固めてしまう
などがよく起きます。
これは 「動作の誤学習」 と呼ばれ、改善を止める大きな原因です。
多くの人が誤解している“回復のタイムリミット”

ここでハッキリ伝えたいのは、
「回復にはタイムリミットがある」という考えは誤解である
ということです。
回復が止まったように見えるときは、
回復が止まった“のではなく”、回復につながる刺激が入らなくなっただけ
ということがほとんどです。
可塑性(脳のつながりは一生変化する)が明らかになっている今、
“遅い時期の改善”は医学的にも珍しいことではありません。
ただし、 正しい刺激・正しい姿勢・正しい動き を継続した場合に限ります。
言い換えると、
正しい方法を選べば、発症から1年後でも改善する可能性は十分ある
ということです。
治るために絶対に外せないリハビリのポイント

脳梗塞リハビリで成果を出す人が共通して行っているのが、次の3つです。
●①“正しい姿勢”の再構築
姿勢は回復の最重要ポイントです。
姿勢が整うと、
- 関節が正しい位置で動く
- 運動の方向が正しく脳に伝わる
- 不必要な筋緊張が抜ける
というメリットがあります。
姿勢が崩れたまま練習しても、
正しい動きは脳に入力されないため回復しにくい のです。
●②正しい動きを身体に覚えさせる
正しい動きとは、
- 小さな力で
- 過剰な筋緊張がなく
- 目的に合った筋肉が適切に働く
状態です。
これは本人の努力だけでは難しく、専門的な誘導が必要になることが多いです。
●③繰り返し刺激を与え続ける
脳は「繰り返した動き」を優先して覚えます。
逆に練習量が少ないと改善は頭打ちになります。
“質 × 量”の両方がそろって初めて、回復は伸びていきます。
自宅でできる回復を促すトレーニング

ここでは自宅でもでき、回復を後押しする大切な練習を紹介します。
●①姿勢リセット(体幹の軸づくり)
- 座位で骨盤を少し前傾にする
- 胸郭をつぶさず、深く呼吸
- 体の左右差を感じる
姿勢が整うだけで、腕や脚の動きが変わる方は多いです。
●②ゆっくり関節を動かす練習
速い動きでは脳が正確に情報を処理できません。
ゆっくり丁寧に動かすことで“正しい動き”を覚えられます。
●③麻痺側への荷重練習
立位で軽く麻痺側へ体重を乗せるだけでも、脳に重要な刺激が入ります。
左右差の改善にも効果的です。
これは手に体重を乗せるという観点からも重要です。
回復が止まったと感じる時に見直すべきこと

「もう良くならない…」と感じるときは、次の3つを見直してみてください。
●①姿勢が崩れていないか
姿勢が崩れると、回復は必ず鈍ります。
●②動作のクセが強くなっていないか
代償で乗り切ろうとすると、正しい動きが入らなくなります。
●③練習量が少なくなっていないか
練習の“質”だけでは足りません。
脳は「繰り返し」で書き換わります。
以上より、見直すべきは努力の方向性です。
正しい方向に向き直せば、再び回復が動き出す人は非常に多いです。
訪問リハ・自費リハの活用で大きく変わるケース
保険リハビリには時間や回数の制限があります。
そのため、
「必要な刺激量に対して練習量が不足する」
という方は非常に多いです。
訪問リハビリや自費リハビリでは、次のようなメリットがあります。
- 麻痺の原因に合わせた個別プログラムが作れる
- 姿勢や動作を細かく調整できる
- 自宅の環境で実際の生活動作を改善できる
- 回数の制限がないため、必要な量を確保できる
ヘルスウェアでも、脳卒中に特化したマンツーマンリハビリを行い、
「一度止まったと思っていた回復」が再び進んだ方は多くいらっしゃいます。
実際に、発症から6年以上経過している人でも、手が動き出した人がいます。
興味のある方はこちらをご覧ください。
治る未来のために今日から始めること

今日からできるポイントは次の3つです。
- 麻痺側を“使う”場面を少し増やす
- 正しい姿勢を意識する
- 疲れない範囲でコツコツ続ける
脳は変わり続けます。
小さな積み重ねが、数ヶ月後の大きな改善につながります。
まとめ:諦めなければ、身体は今からでも変わる
脳梗塞の回復は発症から何年経っていても、
「正しい姿勢・正しい動き・適切な刺激」
を続ければ伸びていく可能性があります。
もし「もう良くならない」と感じているなら、
それはあなたの力が尽きたのではなく、
正しい方法にまだ出会えていないだけ かもしれません。
不安や焦りを抱える方こそ、正しい知識と適切なリハビリが必要です。
ヘルスウェアでは、脳卒中後の回復を専門とした訪問・自費リハビリを行い、
「もう一度、自分で動かす喜び」を取り戻すサポートをしています。