脳梗塞後の筋肉のつっぱりはなぜ起こる?|痙縮の正体と今からできる改善ステップ

  • 投稿の最終変更日:2026年1月19日

「力を抜きたいのに抜けない」「勝手に手足が固まる」
「動かそうとすると、逆につっぱってしまう」

脳梗塞の後遺症として多くの方が悩むのが、
**筋肉のつっぱり(痙縮)**です。

リハビリを続けているのに、
むしろ固くなってきた気がする。
ストレッチしても、すぐ戻ってしまう。

実はこの“つっぱり”、
筋肉そのものが悪いわけではありません。

本記事では、
なぜ痙縮が起こるのか
なぜ改善しにくいのか
そして今からでもできる具体的な改善の考え方を、
専門家の視点でわかりやすく解説します。


結論:痙縮は「筋肉の問題」ではなく「脳のブレーキ異常」

まず結論からお伝えします。

脳梗塞後の痙縮は、
筋肉が硬くなったから起こるのではありません。

本当の原因は、
脳から筋肉への“力を抜く指令”が弱くなっていることです。

つまり、
痙縮は「力が入りすぎてしまう状態」であり、
本人の意思とは関係なく起こっています。


痙縮とはどんな状態か

痙縮とは、
筋肉が必要以上に縮み、
自分の意思で緩められなくなる状態です。

次のような症状がよく見られます。

・手が勝手に握り込まれる
・肘や膝が曲がったまま伸びにくい
・歩こうとすると足がつっぱる
・動かすほど固くなる
・力を抜こうとしても抜けない

これらはすべて、
脳の制御異常によって起こります。


なぜ脳梗塞で痙縮が起こるのか

脳には、
筋肉を「動かすアクセル」と
筋肉を「ゆるめるブレーキ」の両方があります。

ブレーキが壊れると筋肉は止まれない

脳梗塞でダメージを受けると、
このブレーキ機能が弱くなります。

すると、
・筋肉が過剰に反応する
・反射が強く出る
・少しの刺激で縮んでしまう

結果として、
常につっぱった状態になります。

「動かすほど固くなる」理由

痙縮がある筋肉は、
急に動かされると反射的に縮みます。

そのため、
速く動かす
勢いで動かす
力任せに動かす

こうした動きは、
かえって痙縮を強めてしまいます。


痙縮が強く出やすい部位

痙縮は、特に次の部位で強く出やすいです。

・手指(握り込み)
・手首(曲がったまま)
・肘(曲がり肘)
・足首(尖足・内反)
・太もも裏

これらは、
日常動作でよく使われる部位であり、
反射が強く出やすい場所でもあります。


多くの人が誤解している「痙縮の対処」

痙縮に対して、
次のような対応だけになっているケースは少なくありません。

・とにかく強くストレッチ
・力で伸ばす
・我慢して動かす

しかし、これらは逆効果になることもあります。

痛みや恐怖は痙縮を悪化させる

痛みや不安を感じると、
脳は身体を守ろうとして、
さらに筋肉を緊張させます。

結果として、
つっぱりが強くなってしまいます。


痙縮改善の第一歩は「安心できる姿勢」

痙縮改善で最も重要なのは、
筋肉をどうこうする前に、姿勢を整えることです。

姿勢が崩れると痙縮は強まる

体が傾く
支えが不安定
バランスが悪い

こうした状態では、
脳は「危険」と判断し、
筋肉を固めて身体を守ろうとします。

安定した姿勢が脳を落ち着かせる

骨盤が安定し、
体がまっすぐ支えられると、
脳はブレーキをかけやすくなります。


痙縮を改善するための考え方

痙縮は、
「伸ばせば取れるもの」ではありません。

ポイントは3つ

・ゆっくり動かす
・力を入れすぎない
・安心できる状態で行う

この3つがそろうことで、
脳は「力を抜いても大丈夫」と学習します。


自宅でできる痙縮を和らげるヒント

※安全に行える内容に限定します。

ゆっくりした関節運動

反動を使わず、
時間をかけて動かします。

速さよりも、
「緊張が出ないこと」が大切です。

呼吸を止めない

息を止めると、
全身に力が入りやすくなります。

吐く息を意識しながら行いましょう。

できる姿勢で行う

無理な姿勢は、
それだけで痙縮を誘発します。


痙縮が強くなったと感じるときに見直すこと

・最近、動作が速くなっていないか
・疲れがたまっていないか
・痛みを我慢していないか
・姿勢が崩れていないか
・環境(寒さ・緊張)が影響していないか

痙縮は、
体調や環境にも大きく左右されます。


医療的に行われる痙縮への対応

医療の現場では、
次のような方法が選択されることもあります。

・内服薬
・ボツリヌス療法
・装具の使用

これらは
痙縮を一時的に抑える手段であり、
「使い方」を変えなければ根本改善にはつながりません。


訪問リハ・自費リハが有効な理由

痙縮は、
全身の使い方を見なければ評価できない症状です。

訪問リハ・自費リハでは、
・姿勢
・動作の癖
・生活動作
・環境

を含めて評価し、
痙縮を強めている原因を探します。

そのうえで、
本人に合った改善ステップを組み立てられます。


まとめ:痙縮は「敵」ではない

痙縮は、
脳が身体を守ろうとした結果です。

決して、
「悪化した証拠」
「努力不足」
ではありません。

原因を理解し、
安心できる姿勢と動きを積み重ねることで、
今からでも変化は期待できます。

大切なのは、
力で抑え込むことではなく、
脳に安心を教えること

つっぱりに振り回される日々から、
少しずつ抜け出していきましょう。

身体は、
まだ学び直す力を持っています。

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