「最近、リハビリを続けているのに変化が少ない…」
「発症直後は良くなったのに、今は停滞している気がする」
脳梗塞後のリハビリを続けていると、多くの方がこうした「伸び悩み」を感じます。しかし、これは“本当に回復が止まった”という意味ではありません。むしろ、多くの場合はアプローチを変えることで再び変化が見られる可能性が十分にあります。
この記事では、
- 伸び悩みが起こる理由
- そこで必要な視点
- 停滞期を突破するための「正しい動き」「正しい姿勢」をつくるリハビリ
を専門家の視点で分かりやすく解説します。
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脳梗塞の回復が伸び悩む“3つの理由”

脳梗塞の回復は「横ばいになる時期」が起こりやすいですが、その理由は決して“脳がもう変わらないから”ではありません。
①代償動作が増え、本来の動きができていない
麻痺がある状態で日常生活を続けると、体はどうしても「楽な動き」に逃げます。
例えば――
- 手が上がらない → 体幹を倒して手を挙げる
- 足が出にくい → 分回す
- 体が揺れる → 肩や首に力を入れて支える
この代償動作が続くと、脳は「それが正しい動き」として覚えてしまい、回復が止まったように感じます。
②正しい姿勢が保てず、動きの土台が崩れている
姿勢は“すべての動きの基盤”です。
ですが、脳梗塞後は――
- 骨盤が後ろに倒れやすい
- 肋骨が固くなる
- 体幹が抜けやすい
といった問題が生じ、姿勢が安定せず動きも改善しにくくなります。
姿勢が崩れたままリハビリをしても、努力が成果につながりにくくなります。
③リハビリの刺激が脳に届いていない
脳が変化するためには「適切な刺激」が必要です。
しかし、
- 同じ練習を繰り返しているだけ
- 麻痺側に重心が乗っていない
- できない動きを無理に反復している
といった状況では、脳の可塑性を十分に引き出すことができません。
停滞期を突破する鍵は「正しい動き」と「正しい姿勢」

ここが最重要ポイントです。
脳梗塞の改善で大切なのは、**“正しく動かせているか”ではなく、“正しく動ける状態をつくれているか”**です。
正しい動きとは?
「必要な筋肉が、必要なタイミングで働いている状態」です。
例えば腕なら、
- 肩をすくめていない
- 肋骨が開きすぎない
- 肩甲骨が滑らかに動いている
こうした土台があって、初めて「正しい挙上運動」になります。
正しい姿勢とは?
「体幹が前後左右に安定した、ニュートラルで動きやすい状態」です。
具体的には――
- 骨盤が立っている
- 肋骨が締まっている
- 足裏に体重が乗る
- 首肩に無駄な力が入っていない
姿勢が整うだけで、
- 手が上がる
- 足が前に出る
- 体幹が安定する
といった改善が自然に起きます。
正しい動き・姿勢を取り戻すためのリハビリのポイント

①硬くなっている関節や筋肉を整える
麻痺後は、
- 肩甲骨
- 股関節
- 足首(内反尖足)
などが固まりやすいです。
「動かせる身体」をつくることが第一歩です。
②体幹の安定性をつくる
体幹が安定すると、手足の動きは驚くほどスムーズになります。
特に重要なのは「骨盤の角度」と「肋骨のポジション」です。
③代償動作を減らし、正しい動きの再学習を行う
代償動作がある限り、脳は正しい動きとして学習しません。
専門家が「どの部分が代償になっているか」を見極めながら動きを修正します。
停滞期は“終わり”ではなく“転換点”

伸び悩みが起こるのは珍しいことではなく、むしろ改善している証拠でもあります。
ただし、
・正しい姿勢
・正しい動き
・適切な刺激
この3つが揃わなければ、再び変化を生むことは難しくなります。
逆に言えば、
これらを整えることで、停滞期を超えて再び改善が動き出す可能性は十分にあるということです。
まとめ:伸び悩みは「終わり」ではなく「改善を見直すサイン」
脳梗塞の回復は直線的ではなく、波のように進んでいきます。
停滞していると感じるときこそ、
- 姿勢
- 動きの癖
- リハビリ内容
を見直す絶好のタイミングです。
もし「最近変化が少ない」と感じていても、それは後退ではありません。
正しいアプローチを行えば、回復が再び動き始める可能性は十分にあります。